1 万能になりたい

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「3日で退院とか速いねタカシ。」 「来てくれてありがとうな、ユージ。」 タカシの荷物を持ち、病院から出た僕はそんな彼の言葉に首を降った。奥さんの春菜さんが仕事だから、代わりに僕がタカシを迎えに来た。 タロットカードが入った袋が、ポケットで揺れた。 「まあ、俺は体だけは丈夫なのさ。はは」 「もう明日から授業出来んでしょ?」 「そうなんだよ、生徒たちに会えるのが楽しみだ。」 ・・・・。 沈黙。 「アオイちゃん、行方不明になっちゃったね」 「・・・ああ。」 「噂だと、あの都市伝説の願いが叶う喫茶店で願いを叶えた『代償』で、悪魔や死神に魂を取られていなくなったって言われてるけど」 僕の言葉にタカシは、歯ぎしりしてた。 「何が都市伝説だ。何が悪魔だ、死神だ。そんなものは実在しない。全部数学で証明出来る。・・信じるものか。 ユージ、願いが叶う喫茶店を探そう。」 「どうして?」 「アオイは、そこで願いを叶えたからおかしくなったんだ。 ・・何でアオイの願いを止めてくれなかったんだ。願いを聞いたヤツを俺は許さない。」 タカシは、力強く言い放つ。 「うん・・ちょっと怖いけど。 僕も探してみるよ。」 僕も笑った。
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