2 親友に会いたい

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病院からの帰り、俺はとぼとぼ歩いていた。 俺の家族は、つい先日死んだばあちゃんだけ。 母親も父親も妹もじいちゃんも。 交通事故で死んだ。 それからは、ばあちゃんが俺を育ててくれたんだ。 病院のベッドで、ばあちゃんを見た時。 すごく安らかな顔をしていた。 「とてもいいお顔をされている。 まるで、旦那様がお迎えにいらしたかのようですね。」 ばあちゃんも、皆の所に逝った。 医者は、泣いていた。 俺も、泣いた。 癌です その言葉が、頭から離れない。 死ぬ、のか。 俺は、死ぬのか。 皆の分まで生きなきゃいけないのに。 まだ高3なのに。 しかもあの名門校の一ツ橋高校だぞ。 俺には夢があった。 全員の前に立ち、誰でも笑顔に出来るあの仕事。 小さい頃から憧れてたんだ。 緑色の帽子を握る手に、力がこもる。 ドン! 誰かにぶつかる。 見上げると、ニコニコと笑った顔。 「カズ!カズじゃん!」 「シン・・。」 こいつは、俺の親友のシン。 俺と同じクラスだ。 こいつはメチャクチャ頭がいい。頭の良さは学校で1番と言われてる。 そして人気者のこいつは、小学生の時から誰かを笑わせるのが好きだった。 だから俺たちは約束したんだ。 高校卒業したら、同じ夢を追いかけようって。 だから、こいつのためにも俺は死ぬわけにはいかないんだ。
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