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「これは?」
出たカードを俺はまじまじと見た。
赤い服を着た男が、片手を上に伸ばしている。
机の上には色んなものが置かれていた。
俺から見て、反対になっている。
「魔術師の正位置だね。
タカシ、誰かに会おうとしてるみたいだけどそれはした方がいい。たぶん、彼は味方だ。」
「え」
何でわかったんだ。
俺の鞄には、洗濯をして綺麗に畳まれた黒いスーツの上着が入っている。
「その彼に会えれば、その1歩が踏み出せれば、何かが新しいことが始まる・・。新しい情報が入ってくると解釈した方がいいね。」
ユージは、真剣な眼差しで俺を見た。
俺は頷いて立ち上がる。
「ちょっと、出かけてくる。
ユージはその、シンさんって人を追ってくれ。」
「気を付けてね、タカシ」
「ああ」
鞄の中に、今日の夜のマジックショーのチケットが入っている。
妻にせがまれて2枚取ったんだ。
今みたいな速い時間に会場に行けば、きっと会えるはずだ。
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