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「ええと、りーくんさん」
「りーくん」
いつの間にか、彼は俺と向かいあって座っていた。
「りーくん、お願いがあるんです。
・・願いが叶う喫茶店の情報を何か知ってたら教えて頂きたい。出来れば、俺の親友と一緒に探して頂きたい。」
「どうしてっ?」
バナナを食べながら、彼は聞いてきた。
「俺の生徒がそこに行き、行方不明となりました。・・きっと願いを叶えてしまったんです。噂では悪魔や死神に魂を取られてしまったんだと。・・そんなものは存在しない。全部数学で説明出来ます。
教師として話を聞いてやれず止められなかった俺にも、確かに責任はあります。
しかし、俺は願いを叶えた人を許したくない。どうして叶えたんだ、彼女の願いを。何で止めてくれなかったんだ。
・・聞いてみたくて。」
すると、彼はその丸くきれいな瞳を俺に向けた。その瞳は赤い。
「・・諦めなよ、見つかりっこない。
君が関わることじゃないよっ。」
・・そうなの、かな。
この人の目を見てると、そう思えてくる。
何だか、つま先からじわじわと支配されるような感覚だ。
きっと、そうなん、だ。
・・・。
で、も。
でも。でも。ここで俺が諦めたら。
アオイは・・。
「お願いします!あなたの仕事の邪魔はしませんから!」
気がついたら、俺の目も赤くなっていた。
目をぱちくりとさせたりーくんが、俺を見ていた。
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