2 親友に会いたい

9/26
前へ
/1212ページ
次へ
「さすがは王です。彼に協力するとは懐が広いお方だ。 死神の目を使って、言うことをきかせることも出来たのに。」 タカシ君が帰った後、フジが俺に跪いて話した。 「・・使ったよっ。 彼には効かなかったんだ」 フジは少し驚いていた。急いで俺の後ろに回る。 「人間に弾かれるほど、力が弱まっておいでなのですね。王、失礼します。 俺の力もお持ち下さい。」 背中に手を当てられた。 力が入ってくるけど、今の俺の力はほぼフル状態に等しい。 少し冷や汗をかいていることに気がつく。 ヨースケからフルの状態で力をもらっていたから。 魂だけとはいえ、死神の目を使った時はいつもの俺とほぼ同じだった。 それなのに。 タカシ君には。 効かなかった。 ・・・面白いじゃんっ。 タカシ君、キミは楽しませてくれそうだ。 悪魔かな、それとも死神かな? 悪魔でも死神でも、王様の俺ぐらい力があることになるけどな。 「ねえ、フジ。握手したんだから彼の記憶見たんでしょ?どうだったっ?」 「どうだったと仰られましても。 いつも生徒を大事にしている優しい先生でしたよ。同類かどうか念のためかなり昔も遡りましたが、普通の人間です。 それから、親友の母親を刺してますね。 ただ、それは・・」 ・・・・。 「・・ふーんっ」 フジから説明を受けた俺はついつい、笑っていた。そうだったんだなあ。 真っ黒い影が、俺の足元にざわざわと集まってくる。 「・・王・・。」 「フジ、俺さあ。久しぶりにワクワクしてるよっ。」 これだから。 ・・楽しいんだよなっ。 タカシ君。 キミの正体、何だろうねっ。 知りたいよ。
/1212ページ

最初のコメントを投稿しよう!

118人が本棚に入れています
本棚に追加