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「さすがは王です。彼に協力するとは懐が広いお方だ。
死神の目を使って、言うことをきかせることも出来たのに。」
タカシ君が帰った後、フジが俺に跪いて話した。
「・・使ったよっ。
彼には効かなかったんだ」
フジは少し驚いていた。急いで俺の後ろに回る。
「人間に弾かれるほど、力が弱まっておいでなのですね。王、失礼します。
俺の力もお持ち下さい。」
背中に手を当てられた。
力が入ってくるけど、今の俺の力はほぼフル状態に等しい。
少し冷や汗をかいていることに気がつく。
ヨースケからフルの状態で力をもらっていたから。
魂だけとはいえ、死神の目を使った時はいつもの俺とほぼ同じだった。
それなのに。
タカシ君には。
効かなかった。
・・・面白いじゃんっ。
タカシ君、キミは楽しませてくれそうだ。
悪魔かな、それとも死神かな?
悪魔でも死神でも、王様の俺ぐらい力があることになるけどな。
「ねえ、フジ。握手したんだから彼の記憶見たんでしょ?どうだったっ?」
「どうだったと仰られましても。
いつも生徒を大事にしている優しい先生でしたよ。同類かどうか念のためかなり昔も遡りましたが、普通の人間です。
それから、親友の母親を刺してますね。
ただ、それは・・」
・・・・。
「・・ふーんっ」
フジから説明を受けた俺はついつい、笑っていた。そうだったんだなあ。
真っ黒い影が、俺の足元にざわざわと集まってくる。
「・・王・・。」
「フジ、俺さあ。久しぶりにワクワクしてるよっ。」
これだから。
・・楽しいんだよなっ。
タカシ君。
キミの正体、何だろうねっ。
知りたいよ。
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