2 親友に会いたい

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カラン、コロン。 「いらっしゃいませ」 たかぽんに話を聞いてもらって学校から帰る途中。 私は気がついたら森にいて。 奥に家があったから入った。 中にいたのは、シルクハットを被ったスーツ姿の人。 「あの・・ここ」 「こちらは、願いが叶う喫茶店です。 僕は店主の町田と申します。 江田(えだ)雪恵(ゆきえ)様、ようこそ。」 丁寧に、町田さんは頭を下げた。 不思議な人だ。 『・・・。ヨースケ、俺と代わってくれっ。』 『彼』が、僕の中で訴えます。 ・・構いませんが、林道さんあなたはライブを終えたばかりですよ、疲れていませんか? 『大丈夫だ。出来る。 ・・彼女に、願って欲しくないんだっ』 「父親を殺して」 私の願いはただ、それだけ。 町田さんはシルクハットの縁に手をかけ、顔を伏せた。 しばらくしてから顔を上げ、口を開く。 「・・どうしても、殺したいっ? お父さん、凄い人だってわかってるよね? 色んな人たちの命を必死になって助けてきたんだ、笑顔にしてきたんだ。 キミの夢だって「皆を笑顔に」することだろう?医者だってそれが出来るんだよっ? それじゃ、不満なのかなぁ?」 「お父さんが、素晴らしい医者だってのはわかってる。・・でも、私は教師になりたいんです。医者を強制されたくない、私の人生だから。」 町田さんの印象が変わった気がするが、気にせず私は言った。しかし、彼は引かない。 「『代償』は、キミの命だよっ? 死ぬんだよ、小野先生みたいな先生にはなれないよ? ・・・死んだら、何も出来なくなるよっ。夢も叶えられなくなる」 町田さんは、少し悲しげに言った。 命。 命がなくなったら、たかぽんみたいな先生にはなれない。 《皆で叫ぼう!せーの!「点P」!》 《よし、皆!体育祭お疲れ様だったな!走るぞあの夕陽に向かって!先生は自転車だけど!》 《さあ!今日は修学旅行だが皆、準備はちゃんとしてきたかな?おやつはバナナ以外なら500円までだぞ。 さてここで問題だ。タカシ君は500円を持って・・》 あんな、面白くて。 授業がわかりやすくて。 皆に慕われてて。 いつもニコニコしてる先生になりたい。 命がなくなったら、なれない。 でも。 「はい、殺して下さい。」 あんな父親、死んで欲しい。 私の弊害になるなら、命もいらないわ。 邪魔、しないで。 「・・わかったっ」 目の前に、紅茶を出された。
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