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「マル、マル、あ、おっしいなあ。
サンカク、と。」
生徒達の小テストの採点を、俺は学校でしていた。
時間がなく、夜中になってしまったが。
皆やはり優秀だ。今回は補習授業をしなくて済みそうだ。
こち、こち。
ふと時計を見ると12時過ぎていた。
「もうこんな時間か、休憩するか。」
軽く伸びをして、立ち上がる。
自動販売機の前に行くと、ソファーに誰か寝てる。
童顔に小さな帽子。
ユージだ。ぴくりとも動かない。
「ユージ、おい。生きてるか?」
「・・・う、あ・・タ、タカ・・シ?
うええええん!タカシ、タカシい!」
ユージは目を覚ますと泣きながら俺に飛び付いてきた。
「ちょ、お前何だよ急に・・。」
妻に編んでもらった白いベストが、ユージの涙とか鼻水でべちゃべちゃだ。
「そうか。・・シンさん亡くなってたのか」
「う”ん・・。」
俺が買ったバナナジュースを飲みながら、ユージは涙声で頷く。
「ここにいたのか」
暗闇から、声がした。
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