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「小宮学長・・」
髭を蓄えたおじいさんが、僕達の前に来た。
「タカシ、知り合い?」
「東専大の学長だよ。俺はこの人から教授のオファー受けてたんだが断ったんだ。」
「舛方君とか言ったね。・・あの死体を見つけた後に殺してやろうと思ったが、思わぬ邪魔が入ったよ。
ようやく見つけた。・・死んで貰うよ」
ナイフを彼は持っている。
僕は怯えた。タカシが僕の前に出る。
「願いが叶う喫茶店のことを知られたら、不味いことでもあるんですかね、小宮学長。」
「ああ。君たちは関わらなくていいんだよ。そこは私が見つけるんだからな。
私だけが何度でも願いを叶えられるようにする。まずは世の中を頭の良い人間だけにする。人間性などいらん。
小野君、キミみたいに人を大事にする熱血教師はもう古い。時代は変わったんだよ。」
タカシはため息をついた。
「・・小宮学長、いつからあなたはそうなられたんですか。
『キミの数学の力が必要だ』と俺に仰ったのは、あなたなのに・・。もう、俺みたいな人間を大事にする教師は必要ないんですか?」
「もちろんキミも諦めてないよ、小野君。
私についてくるんだ。」
小宮さんの目が赤く染まった。
タカシは、何かに操られるかのようにゆっくり彼の所に歩いていく。
僕はその腕を引っ張った。
「タカシ、ダメだ!あんなやつの所に行ったら!」
「舛方君、動くな」
その赤い目を見た瞬間。
え
僕の体が凍ったように動かなくなる。
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