2 親友に会いたい

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「あり、あと」 ありがとう、シン。 お前がいてくれたから俺は。 一ツ橋高校に入れた。 お前とふざけて、バカやって。 授業前に、皆を笑わせて。 たまに先生がくるまでやっちゃって、2人して廊下に立たされて。 俺がいつでも笑えたのは。 頭のいいお前が毎日、俺の隣でボケてくれてたからだ。ツッコむ俺は毎日笑わせてもらってた。 俺はここで病気で死ぬけど、お前と出会えてよかった。 「藤本・・お前・・死ぬのかよ!?嘘だろ!? イヤだ、イヤだよ・・。僕1人じゃ何も出来ないよ!何しろって言うんだよ! 僕達はコンビじゃないか、共に同じ夢を目指した!・・「皆を笑顔にする」って、目標掲げたじゃないか。 お前1人だけ違う世界で相方作るなんて、許さないぞ! 藤本・・死なないでくれよ、死なないでくれ!」 シン・・信太郎(しんたろう)は俺に力強く叫んだ。 「や、れ、ろ」 やめろ。 お前は、もっと違う道がある。 俺のせいで、背負わせたくない。 「やめないっ!絶対!僕はお前と一緒にやる! ・・僕にはっ、・・お前しかいないんだよぉ。」 子供みたいに泣いてる。いつもニコニコしてるあのシンが。 シン、お前はホントにさ。 「ば、ら、だな ・・う、れ、り、いよ」 折れたよ。 お前は何を言っても意見曲げないからな。 嬉しい。 主治医の江田さんが、僕を見て頭を下げる。 「・・・・よく最後まで頑張りました。あなたの死は私が必ず、生かします。 お約束します、あなたの病気で死なせる人を私は2度と作らない。 ・・藤本和典さん、私はあなたのことを絶対に忘れません。 ・・最後です。」 江田さんは、シンに話しかけた。 泣いて、その顔はぐしゃぐしゃになってる。 「ふ、藤本、・・僕は・・皆を、・・グスッ・・笑顔にするよ。お前、の、分まで。 ・・・グスッグスッ・・」 俺は力なく笑い。 緑色の帽子を、シンの手に落とす。 お前に、託すよ。 俺の夢。 約束だぞ。 俺の分まで。 「皆を笑顔に」してくれ。 お前なら、出来る。 「あり、・・あとな」 これからはお前が被る全ての《帽子》になって、一緒にいるよ。 だから、泣かないでくれ。 お前は俺が誇れる。 優しくて 涙もろくて 頭がよくて 面白くて 強い 親友だ。 『さあ!この、「りーくん」は今日も皆を笑顔にしますよっ!』 見える。 シンが、ニコニコ笑って皆を笑顔にしてる姿が。 涙が一筋、流れた。 ありがとう。
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