2 親友に会いたい

22/26
前へ
/1207ページ
次へ
「おや、君たちは・・?」 『俺』とタク君の前に現れたのは、白衣を着た60代ぐらいの男性だ。 「俺っちタク。こっちは『りーくん』。 ユキエっちがさ、あんたを殺して欲しいってさ。 ダメだよ、彼女には先生になりたいって夢あんのにさあ。圧力で押さえつけちゃ」 タク君が、赤いハサミを持ちながらニコニコしてる。 灰色の岩に座り、男性・・江田(えだ)康之(やすゆき)先生は答えた。 「ユキエか。・・はは、私も老いてモウロクしてしまったみたいでね。 彼女に医者の夢を押し付けてしまったよ。 教師になりたいという気持ち、認めてやれば良かったな。理解してはいたんだ。」 「・・今さら後悔?バカじゃないの。あんたみたいなダメ医者さ。死んだ方がいいよ。 『りーくん』。ギッタギタにしちゃえ。」 タク君が子供のような表情で、『俺』に笑いかけた。 「もちろんだよっ」 ヨースケの姿をした『俺』の手は、何故か震えた。
/1207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

117人が本棚に入れています
本棚に追加