2 親友に会いたい

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漆黒に染まる鎌を持ち、江田先生に近づく。 その大きな刃が鋭く光る。 「・・・・。」 カタカタカタカタ 《・・林道さん、手が震えてますよ。 僕が代わりましょうか。 このビデオカメラなら、苦しませず出来ます。》 ヨースケ、大丈夫だ。 藤本のために、やらせてくれ。 俺はこいつを許したくない。 「あんた医者だろっ? ・・どうして助けてくれなかったんだ。 なあっ!どうしてだよ!どうして藤本を助けてくれなかった! 藤本は俺の・・たった1人の親友だったんだよっ! あいつがいなくなって、俺は1人で芸人目指したんだ・・あいつのために、皆を笑顔にするためにっ!」 抑え込んでいた感情が溢れ出す。 魂だけの存在の『俺』だから、抑えられない。 江田先生は『俺』を見て話し始めた。 「藤本・・藤本和典君か。彼のことはよく覚えている。彼は当時の医療では治せない病だった。若輩者だった私は彼を助けることが出来なかった。勇気づける言葉しか言えなかった。 ・・君の親友を死なせてしまい申し訳なかった。いくら謝っても君は許してはくれないだろう。 彼の死を無駄にしたくなかった私は、5年かけて原因を探った。 そしてついに、彼がかかった病を治す薬を作り出した。私は沢山の人達から「奇跡の医者」と呼ばれたが。 それは違う。 彼が・・藤本君がいなければ、今も沢山の人の命が失われていただろう。彼と同じ病で。 ・・彼こそが「奇跡の医者」だ。 私は白衣に袖を通す時、患者を診る時、手術をする時。 常に彼と共にいるつもりで、この25年やってきたよ。彼に敬意を払いながら。 もう、今死んでも悔いはない。 彼と共に、空の上にいる患者達を治す時が来ただけだ。 すまなかったね、林道信太郎君。 ・・25年もかかってしまったが、君に謝罪するよ。あの時、私がすぐに新薬を開発出来てたら君の親友は助かった。 本当にすまなかった。」 江田先生は『俺』に頭を下げた。 カラン 手から、死神の鎌が落ちた。
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