2 親友に会いたい

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ヤスユキっちは、患者の死をムダにしてなかったんだ。 常に、頭の中では考えて。悔いていた。 『りーくん』のことも、覚えていた。 「出来ない。 俺にはっ。 ・・殺せない。」 俺っちには聞こえた。 小さな小さな、『彼』の声。 震えるような。 魂の声。 『彼』は涙を拭い、足元にある死神の鎌を拾い握っているが、彼の手に力が入ってない。 俺っちがやらないと。 赤いハサミを出した。 「代わるよ、俺っちがや」 ズバッ!!!!!! ごろん 俺っちが言った瞬間。 彼は鎌を振り下ろした。 その額や手には汗をかいている。 はあはあ、と息は荒い。 血がドクドクと溢れだした首が、その場に転がる。 ヨースケっちの服やシルクハットが、真っ赤に染まり。 メガネが赤い斑点で濡れている。 漆黒の鎌は、フッと消えた。 『ヨースケっ、お前、何で代わっ』 「林道さん。『死神は情に流されたらいけない』んでしょう? ダメ、じゃないですか、・・・」 ヨースケっちは、そう言ってフッと倒れてしまった。目の前の光景に、耐えられなかったみたいだ。 俺っちが支えた。 「帰ろう、『りーくん』」 『・・そうだねっ』 俺っちは魂を食べたけど。 悪どく、汚れきった魂を期待していたのに。 全然、おいしくなかった。
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