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「お前さ、悪魔とか死神とか信じる?」
白い煙をフー、と吐き出して東さんは俺に聞いてきた。
俺は、ずれたメガネをくいと上げた。
「いえ。それは全て数学で証明出来ます。」
「何故そう思う。実際に会ったことがないからか?」
「はい。」
俺は言い切った。彼は少し笑顔になる。
「例えばお前が、その悪魔や死神だったらどうする。」
「・・。俺が・・悪魔や死神・・。」
「ああ。そうだったらどうするよ、先生」
東さんの目が、赤く染まっていた。
生徒達も
ユージも
妻も
離れて行くかもしれない。
でも、それでも俺は。
「俺は。・・その力がもしあったら皆を守るために使いたい。」
俺の言葉を聞くと彼はさらに嬉しそうに笑い、言った。
「・・その言葉、忘れんなよ」
彼は消えた。
俺は慌てて探したが、どこにもいなかった。
「何だったんだ」
呟き。
自転車に乗り、俺は家に戻った。
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