3 LIFE=MATH

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この目は、昔からだ。 目が赤くなってる瞬間は、誰でも俺の言うことを聞いた。 嫌な友達。 仲がいい友達。 先生も。 ユージですらも。 道行く人ですらも。 そう、誰でも。 怖かった。 言葉1つで他人を思いのままに動かせる俺自身が。 目が赤い瞬間を他人に見られた時は『具合が悪い』『充血してるんだ』とウソをついては元に戻るのを待ったりした。 「・・・はあ、はあ・・」 目が普通に戻る。 一気に全身の脱力感に襲われる。 いつものことだ。 『お前が、死神か悪魔だったらどうすんだよ』 東さんの言葉が頭を霞める。 ・・まさか。俺は。 そういう存在なのか? 両手をじっと見た。 そう言えば、前にユージから悪魔と死のタロットカードを見せてもらったような気がする。 人を支配し欲望のままに生きる悪魔。 自分のやりたいことをするためなら、何でもする。 死のタロットカード。 フードは真っ黒だった。それが人の命を狩る死神。 俺は、どっちなんだ。 人を支配し欲望のままに生きるのか、はたまた人の命を狩るのか。 ハッとして首を左右に振る。 何を考えてるんだ俺は。 そんなのは全部、数学で証明出来るんだ。 ありえない。 俺は人間だ。 今日はトンカツだ。速く行かないと冷めてしまう。サクサクしてて、脂身の部分とか旨いんだろうな。 俺はワクワクしながら部屋を出た。 「なあ、ヨースケ。」 甘い匂いがする喫茶店。 戸棚で本を見るこいつに、俺は話しかけた。 「何ですか、ユー先輩。」 「そこに映るタカシとか言う先生、要注意だぜ。 あと、親友のユージも。」 「わかっています」
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