3 LIFE=MATH

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LIFE=MATH。 『君は、ゼータ関数より魅力的だ。 出来れば、いつかリーマン予想が解けるまで俺と一緒にいてくれないか。 何があっても、君を守る。数学で論破するよ。』 『え?隆さん・・。』 公園で、妻の前で跪いて指輪を出した。 プロポーズした時のことを、思い出す。 文系の妻は明らかに戸惑っていたっけ。 「何笑ってるの?」 トンカツを箸で持ち上げたまま、俺は妻の顔を見た。ずれたメガネをくいと上げる。 「ちょっとさ、君にプロポーズした時のこと思い出して」 「ああ、あの意味不明なプロポーズね。理解不能の。」 「どうして、その理解不能で意味不明な俺のプロポーズを受けてくれたんだ?」 それを聞いて、ふふ、と妻は笑う。 「あなたのその情熱的な所に折れたのよ。 『リーマン予想が解けるまで、一緒にいてくれ』なんて。未解決問題よね、それ。 あなたが解くつもりだったのかしら?」 言われて顔が赤くなる。 「そ、それは・・。一生、俺と一緒にいてくれって意味だよ・・。 数学に例えたら恥ずかしくなく言えるんだよ・・」 「あなたは数学が大好きね。さすが数学の先生。」 「小学生の時から好きだったんだよ。」 顔を真っ赤にしながらトンカツを食べた。 「それでね、あなた。話なんだけど」 「ま、また今度に・・してくれないか」 「うん、そうよね。疲れてるもんね。ごめんね。」 「い、いや。俺こそ大事な話なのにごめん」 何か、怖い。 俺は、妻に尽くしてきた自信がある。 でも、ちょっとイヤな部分があっただろうか。 確かに最近は忙しくて構ってやれてなかった。 生徒達に目が行っていたのは認める。 プライベートでも、確かに生徒達の家に行ったり食事に行ったりカラオケもした。 しかし、決してイヤらしい目で見ていたワケではない。 悩みを聞いてたんだ。 生徒達は、俺の子供達みたいなもの。 1人1人が、大切な存在なんだ。 妻だって、わかってるはずだ。 でも。 「離婚してほしいの」 その言葉だったら。 不安を解消したい。
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