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LIFE=MATH。
カランカラン。
「ユージ、来たぞ。」
日曜日の朝早くに俺は、りーくんと店に来た。
カバンを置いてテーブルの前のパイプ椅子に座る。
シーンとしてる店内。
「誰もいないんじゃないっ?タカシ君」
キャラクターのシャツを着て、青いジーンズ。黒い斜めがけのカバンをしている彼は、ニコニコ笑って俺に話す。
「いえ、います。
ユージ!!俺だ!!!」
「い、いら、いらっしゃ、い、ま・・
タカ・・タカシ・・か。」
「ユージ、大丈夫か。」
ノソノソと奥からやってきたユージ。
やはり、まだショックは抜け切れてない。
首が外れた死体を間近で見たんだ、それは当然かもしれない。
パジャマ姿で、目にはクマが出来てる。
ボサボサの頭には帽子がない。
傷や痣だらけ、生傷だらけの頭が痛々しい。
そこにかかってる帽子を頭に乗せてやる。
「だ、大丈・・わああ!この人、俺を箱に入れた人だあ!」
ユージが、りーくんを見て叫ぶ。
「やあやあ、君がユージ君ね。あの時はごめんねっ、箱に入れたりしてさ。」
「りーくん、ユージを知ってるんですか。」
「知ってるよっ。彼は、俺の手品のライブでステージに上がってくれたんだ。
りーくんだよ、よろしくねっ」
「は、は、は、はい。
ぼ、ぼく、ぼく、ま、ま、まっ、ま、ます、ます、ます、」
ユージ、「MATH」「MATH」じゃないよ。お前数学嫌いだろ。
俺はメガネをくいと上げ言った。
「こいつは、舛方雄二。ユージって呼んで大丈夫です。」
「ユージ君、よろしくねっ」
りーくんが頭を下げる。ユージはびくびくしてた。
俺はユージに言う。
「今日はさ、願いが叶う喫茶店のことじゃなくて純粋に、俺のことタロットで占ってくれないかな。」
「わかった。何にする?」
タロットのことになると、こいつは人が変わったようになる。
いつの間にかユージは、俺と向かい合って座りタロットをシャッフルしながら聞いてる。
・・頭はボサボサのままだけど。
りーくんは側で立っていた。
「これから妻とさ、・・ずっと一緒にいられるかな。」
「はは、心配なのか?あんなお前を愛してる奥さんが。お前だって奥さん愛してるだろ。
何不安になってんだよ。」
「違うよ!急に離婚したいとか言われたら、って思っちゃって」
頭を抱えた。
「まあ、大丈夫だと思うけどね。とりあえずこの先どうなるか占うから」
出された1枚のカードを、3人して覗きこんだ。
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