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ソファーからガバッと起き上がる。
喫茶店に戻っていた。
「お目覚めですね。小野様。
自分の中の悪い死神に負けそうになっていたみたいですが、もう一人が助けてくれましたね。
まあ、合格です。」
そう言って町田さんが笑う。
何だったんだ。
俺は驚いて彼から離れ、ずれたメガネをくいと上げる。
気がつくと、目付きの悪い男性が側にいた。
ため息をついて俺を見ている。
東さんだ。
「なあ、小野先生よ。・・あんたの親友の母親殺したのはホントに」
「俺です。」
ばらっ
俺は持ってた鞄を、テーブルの上にひっくり返した。
数学の教科書や、携帯電話、辞書、「数学者は語る/松江正人著」という本に混ざり。
真っ二つになったしわしわの教科書と。
古い彫刻刀が出てきた。
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