3 LIFE=MATH

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LIFE=? 『フン、お前みたいな臆病者になんか私は刺せないよ!ほら!刺せるもんなら刺してみな!』 俺が見てない場面。 ユージの母親は、気絶した俺を盾にしていた。 ユージは一生懸命、柄の部分の血をティッシュで拭き取り、ティッシュの上から彫刻刀を2本持ち、ブルブルと震えてた。 『ひ、卑怯だぞ、タカシを離せ!』 『ほら、彫刻刀を返しな!』 グサ ユージが 刺した 恐怖で震えながら 1本は喉に 『ぐうえええ』 奇声を上げる。 血が大量に俺とユージにかかる。 俺は、ユージの母親の手から離れどさりと倒れた。 ユージの母親は、それでも喉元にある彫刻刀を引き抜いた。いつの間にかティッシュは落ちている。そしてユージに近づく。 『あ・・あ、あ・・ く、くるな・・くるなあああ!』 『ぎいあああああ!』 胸にもう1本、刺す。 同じように胸から外した瞬間に絶命した。 目を開けながら。 『お、おかあ、・・さ・・』 その場面を見てガタガタと震え、ユージは気絶した。 目を覚ましたら、ユージの母親は死んでた。 殺したのは、間違いなく。 俺の近くで倒れてるユージだ。 でも、こいつがいなかったら。 俺は、死んでた。 彫刻刀は俺の物。 だからこれは俺の罪だ。 事実、俺も刺しているのだから。 ユージは、悪くない。 救急車を呼び真っ赤な手を見て、震えながら思った。 場面が喫茶店に戻る。 俺は、ふかふかのソファーに力なく座った。 「彼自身は、小野様がお母様を殺したと思っていますね。 ショックが強すぎて、殺した時の自分の記憶を消したのでしょう」 「・・・自分の罪を消した、か。」 町田さんの言葉に、東さんが反応した。 「そうですね。舛方様のしたことは犯罪ですが・・僕もわかるような気がします。 僕にも、守るべき存在がいますから。 その人達のためだったら・・。」 「町田さん・・ でも、刺したのは俺です。」 「先生にとって人生とは数学なんだよな。・・だから脳が、あの女の動きを止めるという計算をしちまったのさ。 まあ刺したにしろ、先生は正当防衛が認められるよ。まあ、ユージは明らかに殺意持ってたけど」 東さんが頷いて言った。 「ユージがやってくれなかったら・・俺達はユージの母親に殺されてたんです! あいつがいてくれたから、今俺はこうして生きて数学教師が出来るんです。」 「・・・・」 「確かにあいつは人を殺しました。でもそうなる原因を生み出したのは、紛れもなくあいつの母親なんです!」 「・・先生」 東さんはため息をつく。 「やってくれてなかったらきっと俺があいつの母親殺してた。だから、捕まえるなら俺を」 「俺は、誰かを逮捕しにきたんじゃねえよ。 自殺で片付いてるし、担当してた人はもう死んでるしな。 ・・これで、吉本さんに真実を報告出来る」 カラン、コロン。 東さんは出て行った。
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