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「・・・・。」
僕は店で1人。
タロットカードを並べる。
いつもこうやって、開店前はカードを並べて。
カードとコミュニケーションを取るんだ。
このカードは、僕の師匠である水上マキコ先生の遺品だ。
マキコ先生は5年前に亡くなった。
占いをしたいと言った僕を弟子にしてくれて。
僕に占いの基礎をしっかり教えてくれた。
マキコ先生には、拓哉君という息子さんがいたそうだが、若くして亡くなったらしい。
聞いた話によると、拓哉君はビルの屋上から飛び降り自殺したらしい。
何に悩んでいたんだろう。お母さん1人残して自殺するぐらいだ。相当の悩みだったんだろうな。
・・その時に、僕が話を聞いてあげてたら。
息子さんにせめて、お礼でも言いたかったけど。
カランカラン。
「よ、ユージ」
そんなことを考えていたら、タカシが女の子を連れて入ってきた。
まったくもう。
「タカシ、 まだ開店前だってば。
その子は?」
「俺の高校の生徒でマリア。
悩んでることがあんだとさ。」
「よ、よろしく・・お願いします」
マリアちゃんは、下を向きながら答えた。
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