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その瞬間。
目の前の数センチ先に、斧が降ってきた。
風を切るような音を聞いていなければ、鼻先が少し削られていたのは間違いないだろう。
それほどまでに、目の前ギリギリに落ちてきた。
「うっそだろ……」
冷や汗を垂らしながら言葉を発すると、大きな影が覆いつくす。
咄嗟に後ろに飛ぶと、先ほどまで居た場所に槍がまっすぐ突き刺さっていた。
さらに飛んだ先に剣が降ってきたので、着地前の空中に結界を張って蹴り、前に飛んだ。
間一髪、避けることが出来た。
「だぁぁあ、燃えろおおお!!」
このままよけ続けてもらちが明かない。
そう判断した俺は両手に魔力を込める。
「炎の渦!」
魔力を込めた両手を横に広げ、炎魔法を発動する。
手から発せられた炎は竜の姿を模して牙をむきながらぬいぐるみたちに襲い掛かる。
兎、熊、象……
その順番に炎の竜たちは襲い掛かり、俺を中心に渦巻いていく。
炎の渦はぬいぐるみたちが黒い灰になるまで続いた。
炎の中でぬいぐるみたちは悶えたりすることはなく、ただされるがままに燃え、武器を落とし、燃え尽きていった。
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