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炎が収まり、ぬいぐるみが灰になったことを確認した俺は急いで出口を探すべく走り出す。
早く脱出しないと、ヤバい
勇者の直感がそう告げていた。
魔力を惜しむのはよくないと判断し、光の珠を周りに浮遊させ、暗闇の廊下を走り抜ける。
途中で穴や、鎧や、横から飛んでくる炎や氷の魔法玉があったが、結界を駆使して避けひたすら進んだ。
暫くすると、背後から何かが軍団で迫ってくる音がした。
ドダダダダダダ
敵の姿を見止めるべく俺は振り向く。
その瞬間、ギョッと目を見開いてしまった。
その軍団の正体は、小さな牙を両手に持ったぬいぐるみの集団だった。
ぬいぐるみは先ほどの巨大ぬいぐるみたちとほぼ同じ姿で、ひたすらニコニコ顔だった。
本来可愛いはずのぬいぐるみをこんなにも恐ろしいと思ったのは初めてだろう。
しかも持っている牙には、光に反射して先っぽがぬめりある光り方をしていた。
勇者としての経験が直感する。
毒だ、と。
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