ヘランはあなたが大好きなの。

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ぬいぐるみたちが向かってくる足音を聞きながら大きく息を吸い込む。 大きくなる足音。 迫ってくる気配。 とうとう目の前に、というところで斧を握る手に力を込めた。 「うぅるぅあああああ!」 力いっぱい振り回す。 両手の斧は確実に獲物を捕らえ、その鋭い刃で切り刻む。 感触は、ぬいぐるみの姿通り、綿と布だった。 それなのに 赤い液体が白い闇を染めていく。 切り刻むたびに、ブシュッと嫌な音を立てて赤い液体が俺の全身にかかる。 毒の牙は咄嗟の防御の鎧で防げていたが、流石に害のない液体は防げない。 いくらか口に入った。 しょっぱい 鉄の味や、匂いはしなかった。 なんというか、飲みなれた、親しい味。 トマトジュースだった。 切り刻んだぬいぐるみからトマトジュースがあふれ出していたのだ。
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