ここはだれ?おれはどこ?

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痛みがなくなり頭がはっきりしてくると、少し前の記憶が戻ってきた。 クエストが終わり、疲れた体を癒そうと宿を求めて町中を歩いている時だった。 ふと、子どもの泣き声が聞こえた。 困っている人や、泣いている人を放っておけない質である俺は急いで泣き声の元に駆け付けた。 「ふえーん、ひっく、うえーん」 両手を目に当て、しゃがみこんでいる子どもがいた。 その足元に割れた棒付きの飴が落ちていたので、すぐに現状を把握した。 「大丈夫かい」 優しく声をかけながら近づこうと足を一歩踏み出した。 その時だった。 ガツン とんでもない衝撃と共に世界が揺れ、紫の霧が視界を覆いつくす。 痛みと、襲い掛かる眠気で俺はその場であっという間に意識を手放したのだ。
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