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間違いない
俺は何者かに不意をつかれて殴られ、さらに追い打ちで眠りの魔術を受けたのだ。
子どもに気を取られていたとはいえ、なんという不覚。
「灯せ」
掌を前に出し、光の魔法を発動する。
大きな光の珠が辺りを照らし出す。
目の前は、レンガ造りの壁だった。
天井も同じ造りで、コンコンと拳で叩いてみるとかなり固く、微かな魔法を感じたので簡単に壊せない何かが組み込まれているようだった。
光の珠で照らしながらじっくりと辺りを見回す。
床はタイルで、恐らく俺の血だろう赤い液体が水たまりを作っていた。
別に自分の部屋でもないのでその血はそのままにした。
そして、ぐるりと見渡すと、背中側に鉄格子があった。
手が入る程度の隙間はあるがかなり頑丈で、掴んで揺らそうとしてもビクともしない。
それは天井にしっかりとくっつき、何があってもここに入ったものは出さない、と言わんばかりの監獄のようだった。
鉄格子を入念に調べると、人一人がやっと入れるような鉄格子の扉があった。
それに手をかけるも、ガシャリという音もなく、きっちりと閉まっていた。
明らかな扉の形をしているのに揺れないところを見ると、何かしらの魔法が施されているのが察せられた。
以上のことから。
俺は、誰かに監獄に閉じ込められたことを知る。
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