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「あ、起きた」
語尾にハートがつかんばかりに、少女は声を弾ませる。
暗視カメラの向こうの彼はふらつき、顔を歪めて頭に触れる。
暗視カメラのおかげで暗闇の中でも細かく見える彼の表情。
サラサラの黒い髪
大きな瞳に長いまつ毛
ずっと触りたくなるほどの艶のある薄紅色の唇
筋肉質な細身の身体
耳にずっと入れていたいほどの心地よさのある低音ボイス
その全てが、今私の手の中に
「ウフフ……フフ……ウフフフフ」
少女は歪んだ笑みを浮かべながら映像の向こうの彼を見つめる。
血が滲んでいた頭が、彼の呟きであっという間に完治する。
「ああ、素敵……なんて素敵……まさに完璧」
次に光を灯す彼に、少女は感嘆のため息をつく。
「さぁ、ウフ。ここからよ……ウフフ」
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