3

1/5
65人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ

3

 そんな感じで、あっという間に三日間が過ぎた。  あれから、立川先生は俺を「師匠」と呼び、しきりに表計算について聞くようになった。俺もできるだけ彼女に教えるようにしてきたのだが、元々最年少なだけあって、彼女は物覚えはすごく良かった。すぐに相対参照、絶対参照の違いや関数をマスターし、しまいにはピボットテーブルで集計まで余裕でこなせるようになった。教え甲斐のある弟子だった。ただ、教わるときにあまりにも距離が近くて、何度もドキドキさせられたのには参った。  俺はと言えば、彼女の件で主任や他の先生方に「出来るヤツ」認定されたらしく、一気に仕事が振られるようになった。もちろん俺は「先生」じゃないので、現場で子供たちの面倒を見たりすることはないのだが、コンピュータを少しでも使うような仕事は、ほぼ全て俺に回されるのだ。  とは言え俺も表計算で何とかなる仕事は立川先生に下請けに出しているのだが、システム回りについては俺と主任以外はお手上げの状態だった。結局、仕事量的には社畜時代と同じくらいに戻ってしまった。まあしかし、並み居る美女たちに尊敬の眼差しで見られるのは悪くない。それだけが前の職場と違うところだが、その違いは俺にとってはかなり大きかった。  しかし……
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!