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水たまりを超えたなら
人を信じられないって泣いていた
年端のいかない頃から
眠る前にはいつも水たまりがあって
沈んで 沈んで
起きる時に息継ぎをする
その繰り返し
人は裏切るからって
最初から縁を切っていたら
誰も 何もなくなって
手元にはパンの一欠片も残らなくて
哀愁漂うサラリーマンを見て
僕と同じなのかと思っても
家族がいるのを想像して
僕とは違う存在なんだと思う
もし成長出来たなら
地べたに足を着いて
弱肉強食の世界に出たのなら
同調しながら笑っているのか
「それでもいいよ」と彼は言う
「それじゃダメだ」と彼は言う
同調は水の中でもがいているようなもの
死んだじいちゃんが言っていた
でも僕はそうは思わない
同調は水の流れに身を任せるようなもの
自分がどうなってもいいやと
ゲームを放棄した人だと
いつか水たまりを脱して
悲しみを振り切れたなら
そう思っていたのだろう?
今は変わらなくてもいい
いつかお日様の下で心から笑ってくれればいい
だから「それでもいいよ」と彼は言った
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