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赤さん②
『赤さんが欲しい女性!
方法はとーっても簡単!
この画像を見て、赤さん、お越しください、と言うだけ!』
手を止めた。urlが貼り付けてある。
「馬鹿馬鹿しい」
画面を閉じようとして、誤って画像のurlを押してしまった。
「あっ」
画像が表示される。それは、ただの一面真っ赤な画像だった。何も写っていない。
「なんだ」
息を吐く。きっと、ただのフェイク画像だ。
そうは思ったものの、私は気付くと呟いていた。
「赤さん、お越しください」
苦笑する。何してるんだろ。
一応、スマホに入っているウイルスソフトを起動させる。特に何も出て来ないので、安心してそのまま寝た。
私は病院の診療室にいた。先生が私のお腹に機械をあてている。どうやらエコーらしい。
「おめでとうございます! 妊娠してますよ!」
先生が言う。嬉しくて、嬉しくて、にやけてしまう。
「ほら、元気に動いてますよ」
エコー画面を見ると、一面真っ赤だった。
「ひっ」
その、赤い画面の中で、赤い何かが蠢いている。恐怖で吐き気がした。
「きゃぁぁっ」
自分の叫び声で目が覚めた。夢だと知り、ほ、と胸を撫で下ろした。
「あ、やっと起きた」
夫は先に起きており、呆れたように私を見下ろした。
「遅いから先行くよ。お前も遅刻するなよ」
結婚後も辞めることなく、夫と同じ職場で働いている。
「わかってるよー」
先に出かけて行く夫を見送り、立ち上がろうとした。
「うっ!?」
途端に気持ちが悪くなり、トイレへ駆け込み、げーげーと吐いた。
何だろう。変なもの食べたかな。
不思議に思いながら、何とか朝の支度をすると、会社へ向かった。
その日から体に異変が起き始めた。
吐き気。
食の好みの変化。
体重の増加。
そして何より。
生理がこない。
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