お兄ちゃんといっしょ

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けど、サトルくんとなら心の底からリラックスできる。男同士が気楽なのもあるし、男らしからぬ彼だからいいのもある。浴室に俺のはしゃぎ声が響くのを聞いてから、お母さんもしょっちゅうこの子に俺を託してくれるようになった。 浴室には、俺のために壁に取り付けるタイプのおもちゃや、水に浮かべる人形などを用意してくれているが、サトルくんと入浴しているときは俺はサトルくんの顔しか見ていない。肌の心地よさを感じながら、大好きな彼のしっとりした顔を見上げて愉悦に浸っているのだ。もしも俺の中でいつか「性」が目覚めたら、こんなふうに一緒には入れなくなるだろう。きっと勃起しっぱなしのはずだ。実の兄貴の裸にチンコをおっ勃てる弟……家庭崩壊の引き金にもなりかねない。 しかし顔を見つめていても、やがてその下にある色素の薄い小さな乳首についつい目がいってしまう。そして、目に入ると吸いたくなってしまう。これは赤ん坊の本能と男の本能の、いったいどちらだろう。だがタケオやお父さんの乳首が目の前にあったら、身体ごとそむけるに違いない。お母さんのだって、腹が減ってないときは特に吸いたいと思わない。だとしたらこの妙な欲求は、男の本能によるものだろうか? でもいくらサトルくんが可愛くたって、これはあくまでも男の乳だ。男の本能で男の乳首に吸い寄せられることなどありうるだろうか? 俺はかつてサトルくんのアイドルのような顔面だけに惚れていたはずだが、いつの間にか男そのものまで性的対象になっていたのだろうか?むさ苦しいのは嫌だが、かわいいと感じさえすれば男も女も見境なく……? 「わっ…」 サトルくんが少しびっくりして、小さく声をあげた。とにかくなんであれ今の俺は「本能」に従って生きているので、何の本能かはわからないが、考えているうちにほとんど無意識に乳首に吸い付いてしまった。 「コウちゃん、お兄ちゃんじゃおっぱい出ないよ」と言われるが、俺だってそんなことよくわかっている。けど1度吸い付くともうやめられないのだ。満足するまで離したくない。それをわかっているのか、サトルくんも困惑しつつ無理に引き剥がすことはしなかった。小さすぎて上手に吸えないけれど、舌で突起の感触を味わい、しゃぶりつくように吸う。俺は目を閉じ、出ていないはずのおっぱいを心ゆくまで味わった。あたたかい湯の中、実の兄と裸で抱き合いながら、無理やり乳首をしゃぶっている……。俺たちは何てフシダラな兄弟なのだ。だがこの満足感が忘れられず、俺はその日からサトルくんとお風呂に入るたび、必ず湯船で乳首を吸った。サトルくんは当然赤ん坊の俺の下心など知る由もないので、風呂から上がるたび「またコウちゃんにおっぱい吸われた」と、笑いながらお母さんに報告していた。
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