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世の中全て金にまみれている。どこで、何をしようにも金がかかる。欲しいものを手に入れようとしても金がかかる。そして、今じゃ、偽りの愛ですらも金で手に入ってしまう。なんて、陳腐なものだろう。
まあ、生きるためには仕方がない事だよな。
深夜の零時を過ぎた頃、俺はキャバクラに来ていた。ド派手な飾り付けに派手なドレスを着て、男共に酒を進めている女達。中には、酔っ払ってか女の子にセクハラまがいな事をしている、オッサンも見かける。しかし、誰も助けようとはしない。
ここ、【ヨルネコ】というキャバクラは、キャバクラであってキャバクラではない。
まあ、はっきり言おう。風俗店だ。
しかも、ギリギリ違法な店だ。
それでも、お客やキャバ嬢達は、違法な店だって事は知ってて来ている。現に俺もだけど……。
「あの、お酒あまり飲まないのですね?」
「あ、ああ」
俺の相手をしていた、まだ二十歳くらいの子だろうか。不安げな眼差しを俺に向けていた。
まあ、そうだよな。ホストやキャバで働いている連中は、お客に飲ませた分だけ自分の資金になるもんな。少なかったら、その分給料も少ないだろう。
「お酒、苦手ですか? なら、ウーロン茶でも頼みますか?」
女の子は、必死で接客をする。たぶん、店長の目が気になるからだろう。
さっきから、こっちを見ている三十くらいの男が見ているからソイツだろうな。
俺は、女の子に笑顔を向ける。
「大丈夫だよ。それよりさ」
女の子の短いドレスから出ている、白い生足に手を置く。
「今の時間って、そーゆー事してもオッケーな時間だろ?」
「あ、あの……。わたし……」
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