二人目 狂愛(ストーカー)

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「本当のことだもーん」 三好は、カバンの中からポッキーを取り出し、食べた。 「あ、食うか?」 「一つだけ」 ポッキーを一つだけもらって、口の中に入れた。 生徒が少なかった教室が、いつのまにか賑やかになっていた。 予鈴が鳴り、みんなパラパラと自分の席に戻っていく。いい子ちゃん組は朝読書用の本を取り出して読み始めている。 俺と三好、いわゆる派手なグループは雑談をし続けていた。 「あーあ、小説なんてつまらないのにね」 窓際の一番後ろの席の辺りから、そんな言葉が聞こえてきた。ちらっと見てみると、女子の中心核にいる斎藤だった。斎藤の班は仲のいい子で固められていた。(一応、四人班となっている男女問わず) 斎藤の班は女子だけの四人グループだ。あとの三人も斎藤の言葉に賛同していた。 「ほんとだよねー、字ばかり見てたら、頭パンクしちゃう〜」 斎藤の一番の親友、加藤が相槌を打つ。斎藤は加藤の言葉に満足気な顔を浮かべている。 「でもさ、でもさ! 恋愛小説は別だよね!」 「えー、なんで?」 残りの二人(玉置と桜田)も会話をしだす。 「セリフ量が多いから?」 「「「それな!!」」」 ギャハハハと、女子ならではの下品な笑い声が飛び散った。あの四人の周りにいる他の生徒たちは、不愉快そうにしていた。けど、何も言えずにいる。 俺と三好は、その一部始終を見て顔を見合わせた。 「「女ってコェエ」」 そのあと、あの四人は担任が来る直前まで、会話に花を咲かせていた。案の定、四人は担任に叱られるのであった。
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