四人目 ×××

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俺は捕まるまいと走る、走る、走る。 交差点の信号が赤に変わろうとしていた。俺は、猛ダッシュで走った。 「危ない!?」 交差点は赤に変わった。刑事の静止する声を無視して、赤信号のまま中へ入った。 パッパーーーー!! 「え……?」 ドジャャアン 遠くの方でパトカーと救急車のサイレンが聞こえる。 「きゃああああああ!!」 女性の甲高い悲鳴が聞こえる。 「早く! トラックの下から出せ!!」 「出血が酷すぎます!」 「トラックの運転手は?!」 「軽い打撲をしています!」 救急隊員たちの声も聞こえる。 「月野?!」 あ、玉木の声だ。じゃあ、たぶん、アイツの家も近くに……。 「…………りょ、すけ?」 真彩……。 「なんで、なんで……なんで!?」 「お嬢さん、危ないから!」 「なんで!? トラックの下敷きになっているのよ!? ねえ!! 早く出してあげなさいよ! このままじゃ、死んじゃう!!」 「落ち着いて下さい! 大丈夫です、いま救急隊員が助け出しています」 「どこがよ?! 手こずっているんじゃ……」 真彩……。 泣くなよ……。 泣くな…………。
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