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エピローグ
「まるでおとぎ話のような……本当の話だよ」
あれから長い年月が過ぎた。
僕は白薔薇の咲く洋館の中庭に立ち、雪也の孫の赤ん坊をあやしながら、独り言のように昔語りをしていた。
最期まで僕を愛し続けてくれたあなたは、もうこの世にいないけれども、僕の心と体には愛してもらった印が深く刻まれている。
今も、この先も、ずっと永遠に。
まるでおとぎ話のような人生をありがとう。
もうすぐまた逢える。
あなたに……
***
部屋に戻り、ずっと机の上に飾ってある古い写真を眺めた。
これは、あの日の三人。
海里さんと僕と雪也がひとつの輪になって、僕の幸せが生まれた瞬間だ。
この幸せを、僕は長い年月をかけて育んだ。
「海里さん……僕はあなたと出会い、生涯幸せでした」
この世には何も残せない僕だけれども、幸せの欠片をここに置いていこう。
僕の幸せが……誰かの幸せに繋がりますように。
「もうすぐ……また逢えます。待っていてくださいね」
****
志生帆 海です。物語はここでおしまい……
まるでおとぎ話のような人生を歩んだ二人は最期の後も、永遠に幸せだったと思います。最後の挿絵は長編版の表紙絵を描いて下さった おもち様が物語を読んで下さり、心を込めて描いて下さったものです。三人の愛情が溶け合っています。
この後……弟の雪也視点の物語をサイドストーリーとして7話ほど連載していきます。もしよろしければ、お付き合いいただけたら嬉しいです。
↓
『おとぎ話を聞かせてよ〜side 雪也〜』
https://estar.jp/novels/25512076
更にこの物語(本編)を長編化しました。
↓
新装 『まるでおとぎ話』 ~long version~
https://estar.jp/novels/25598236
短編には入れられなかった柊一の幼少期、海里先生とのエピソード、幸せになった後の二人をじっくりと描いていきます。
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