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子供たちにきくところによると、最近は2次元、2.5次元アイドルなるものがいて、ツイッター、ユーチューブとも連携しており、SNSを駆使して発信しているらしい。
うーん。。。これについていけ、、というのはちょっと無理ね。
いくら気持ちだけでも若作りとはいえ、アニメも嫌いじゃないけど、今更アニメを追っかける気にはなれないわ。私のアニメはフランダースの犬から始まり、最後はいつだったかしら。子供たちが人気の「鬼滅の刃」とかいうのは、すでに一巻でアウトだった。どうせならロマンス物のマンガよねー。
なんて考えていたら、もう11時を回っていた。子供たちはとりあえず、部屋に行ったし、夫も寝てしまった。
ハナヨは一人、洗面台の鏡に向かって歯を磨いていた。
あー、昔の私はもうちょっとここがこう、今の私も好きだけど、でもー。
ちょっと昔のアルバム見てみよう。
寝室に入り、いびきをかいている夫の横を通りクローゼットをあけ、古いアルバムを開いた。実は何百枚も写真はある。多少古ぼけてはいるが、いろんなショットの写真があるのだ。
なぜなら、ハナヨはアイドルを目指していた。数ある芸能事務所に応募していた。ことごとく落ちたが、友達同士で「うつるんです」を買って写真をとりあったのはとても楽しかった。そのころはアイドルがたくさんいた。聖子ちゃんや明菜ちゃん、早見優ちゃんにちえみちゃん、かっこいいキョンキョン。チェッカーズも大好きだった。いつか私もあの中に入って、歌を歌うのだ、と信じていた
いつから夢をあきらめてしまったんだろう。
もしかしたら、もしかしたら。
この写真の中の顔で、今の私が歌ったらいけるんじゃないかしら。自慢じゃないが歌はうまいほうだ。
90年代、バブル時代はカラオケボックスが至る所にあった。遊びに行くのは決まってカラオケボックス。どこか飲みに行っても、ボーリングにいっても、ダーツをしても、旅行に行っても、締めはカラオケ。スキー旅行に行った時には、カラオケスナックまでいって歌ったものだ。ちなみに当時はカラオケスナックでは1曲200円。そして、見ず知らずの人に聴いてもらうという、ちょっとした緊張感もあり、楽しかった。そんなこんなで鳴らしたこの声だ。そんじょそこらの若造とは練習量が違うのよ。ちなみに十八番は、アン・ルイスや竹内まりや。ビブラートが得意だったわ。
もしかして、もしかして。
わたしって、2次元アイドルになれるんじゃないの?
ううん、正確に言えば、異次元アイドル、次元は同じだから異時代アイドルよ!
生きてる次元は同じで顔も体も実写だけど、顔の時代が違うのよ。
まずは、14歳から18歳ぐらいまでの写真をスキャナーで取り込んで、そこから先はどうするの?わたし、ぜんぜん、パソコンできないんだけど。そこからかしら。あとはそうね、むにゃむにゃ。。
とりあえず眠いわ。55歳に11時はきつい。明日、顔がむくんでなきゃいいけど。
ハナヨは幸せな気持ちで眠りについた。
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