2

3/3
274人が本棚に入れています
本棚に追加
/209ページ
「・・・・・・息、子?違う、違うわ・・・[あの子達は私の弟]で・・・[大切な家族]、で・・・」 「ベサニー?!貴方、リリーになんて事を言ってるの?![それはあの子にとっては禁句]だと・・・そう言ったでしょう?!」 リリーの無事を確認したベサニーは安堵した。 が、それと同時にミルクティーを(のん)()に飲んでいるリリーの姿を見た途端・・・思わず、カッと頭に血が(のぼ)ってしまう。 そして、ベサニーは自身の感情の赴くがまま・・・リリーには[決して言ってはならない言葉を口走ってしまった]。 たった今、店にやって来たばかりの年配の女性がベサニーに注意した事で、当のベサニーはハッと我に返り・・・瞬時に顔を青ざめさせていく。 「違う・・・[私はリリアじゃない]。[私はリリス]で・・・[あの子達は私の弟]、で・・・[大切な家族]で・・・違う、[私はリリスじゃない]・・・[私はリリー]で・・・」 「落ち着いて、リリー!![貴方はリリーよ!!]だから、少し冷静になりましょう?ねっ?」 そう言って、年配の女性が慌てた様子を見せながら、急いでリリーの側へと走り寄った。 「「・・・ママ?どーしたの?」」 「私が、[ママ]?・・・[誰の?]まさか、[貴方達の?]違う・・・貴方達は、年の離れた・・・私の、弟で・・・あぁ、でも・・・貴方達は[彼の小さい頃に本当にそっくり]ね・・・[彼]?彼って・・・私は[一体、誰の事を言っているの?]」 すると、年配の女性と共に店内に入って来た[双子の男の子達が]心配そうにリリーの足元まで近付いて来る。 混乱し、錯乱している彼女を落ち着かせようと、リリーを優先した結果・・・年配の女性は双子の男の子達の存在を(ないがし)ろにしてしまった。 そのせいで、双子の男の子達は[リリーにとっては更に禁句である言葉]を発してしまう。 年配の女性の気遣いも虚しく、リリーは冷静になるどころか・・・逆に益々、頭を混乱させていく。 [火に油を注ぐ]とは、まさにこの事を言うのだろう。 「・・・そうだ、おねーちゃん?![おねーちゃんは何処?!]ロイド君は、おねーちゃんが何処にいるのか知ってるんでしょう?!だって、ロイド君は・・・[私達はいつも一緒だって言ってくれた]もん!!」 「ママ?[ロイドって、だぁれ?]」 「[ぼくたちはロイドじゃない]よ?」 「ねぇ、何処?![私のおねーちゃんは一体、何処にいる]の?!・・・ロイド?あれ?ロイドって・・・[誰だったっけ?]・・・ねぇ、おにーちゃん?おにーちゃんは・・・[リリアおねーちゃんが何処にいるのか知ってる?]」 「ベサニー、今すぐ[リリーの精神安定剤と鎮静剤を出しなさい!!]早く!!」 「は、はいっ!!」 「・・・・・・・・・。」 目の前で繰り広げられている慌ただしい光景。 漣は我関せずといった様子でタバコを吸いながら、ただ黙って事の成り行きを眺めている。 [触らぬ神に祟りなし]とは、よく言ったものだ。 [リリーの質問に対する答えを知っている]からこそ・・・[その質問に答えてやる必要はない]だろう、と。 漣はそのまま[()えて、静観する事を選んだ]。
/209ページ

最初のコメントを投稿しよう!