サント・マルスと大陸の覇王 巻の2

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その22.女神復活  『貿易博物館』を後にし、私達は直接合衆国へ向かう事にした。クエンカ 空港でクリフ大統領に電話すると、サント・マルスを通してその出来事を 知っていたらしく、飛行機の手配をして置いた、という事だった。その為、 何時間も待たずに私達は飛行機に乗る事が出来た。  再び合衆国へやって来た私達は、急いで女神像へ向かおうとした。そこへ 連絡を受けていたというシークレットサービスのマッカートニー氏が車で 迎えに来ていた。 「お待ちしていました。さあ急ぎましょう。」 車は女神像の足元を目指した。  女神像の前に辿り着くと、ボビロワ氏は空高く宝玉を掲げた。像の中を 見学中の観光客が一瞬にして瞬間移動して陸に降り立った。  宝玉は更にまばゆい光を放ち、女神像を覆った。そのうち光は溶ける様に 無くなりあっという間に像は崩壊した。  あまりの出来事に我々は息を呑んだ。何か大変な事を仕出かしたようで 血液が体内で逆流するかとも思った。 「やっとこの国へ帰ってきました。私は体を待たぬ身ですが、今のこの地の 人々がこの形を求めるのなら、この入れ物を自らの身体としましょう。 これで我が力、思う存分発揮できる。」 頭の中になんともいえないような美しい声が響いた。 「今頭の中に聞こえた・・・。この声が女神ヒヒポテ。」 崩壊した女神像は再び形を成し、元の姿に戻った。 「顔つきが・・・ユーラント人だな。」 ボビロワ氏は苦笑いをし、 「両親がユーラントの神だからそうなのか。」 と独り言のように言った。  何か落ちたような音がして足元を見ると、宝玉が転がっている。 「これは!!。」 サント・マルスの宝玉に間違いない。それを拾い上げると今度はサント・ マルスの声が頭の中に響いた。 「これで残りはあと一つ。この小箱に有る宝玉を取り出す事さえできれば ・・・。」 「ありがとう。異国の神サント・マルスよ。あなた方のお陰で私は祖国へ 帰る事が出来た。この星を救う為、私も協力します。」 私はある事を思い出し、ヒヒポテに尋ねた。 「女神ヒヒポテよ。この小箱は強力な魔力で封じられている。小箱を開け、 なかの宝玉を取り出す方法をご存じないか?。」 女神像のままのヒヒポテは私を掌に乗せ、目の前へ運んだ。 「残念ながら、私にはこの魔法を解くことは出来ない。しかし、何処かの 大陸に強力な魔力を秘めた一族が暮らしていると聞いたことがあります。 そこへ行けば何か分かるでしょう。」 「・・・だとしたら、一体どこへ?。」「分かりません。」 女神像は悲しそうに目を閉じた。 「けれど、サント・マルスの国の王よ。サント・マルスは私にとって父親 同然。あなた方のご活躍を祈っています。また困った事が逢ったら来て 下さい。」 女神像はそう言って私を地上に降ろした。
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