ポン太

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 そう言うと、モモはスマートフォンを取り出して電話をかけてくれた。すぐに繋がり、「すみません、息子さんのことで、保護猫カフェの方がお話があるそうです」とモモは言うと、透魔さんと電話を代わった。 「ーーええ。そうなんです。……はい、猫を。そうですか、わかりました。お待ちしております」  悠真くんのお父さんと話し終えた透魔さんが、電話を切った。 「お父さん、なんて言ってましたか⁉」 「残念ながら、場所に心当たりはないそうですが、心配だし、迷惑をかけているからと、仕事を早退してすぐにこちらに来るそうです」 「そうですか……」  お父さんなら、場所の検討がつくかと思ったのに。落胆する私だったが、こちらに向かっている間に何かを思いついてくれるかもしれない。 「俺、急ぎの仕事あって店に戻らないといけないから行くけどさ。本当にヤバそうなら連絡しろよ」  透魔さんにスマートフォンを返してもらいながら、モモが神妙な面持ちで言う。そして私が頷くと、モモは名残惜しそうに猫又から出て行った。  心底心配そうな様子だった。あのお人良しとことだから、仕事さえなければ悠真くんを探すのを手伝ってくれたに違いない。
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