ポン太

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 そしてお父さんが到着するまで、静香さんに接客を任せ、私と透魔さんは一緒にお店の周囲を捜したけれど、収穫はなかった。  それから1時間弱ほど待つと、猫又に悠真くんのお父さんがやってきた。  年歴は40歳前後だろう。ビジネススーツをかっちりと着こなした、悠真くん似で長身のイケメンナイスミドルだった。大変急いで来てくれたようで、息を切らしている様子だ。 「こ、この度はうちの息子がご迷惑をかけて申し訳ありません……。なんとお詫びしたらよいか」  慌てた様子で非礼を詫びる悠真くんのお父さん。顔色があまり良くなく、憔悴しているように見える。悠真くんを心底心配していることが一目でわかった。  忙しくて悠真くんにあまり構ってないという噂があるが、親としての愛情はあるように見える。 「いえ……それより、悠真くんがどこに行ったのか、本当に検討つきませんか?」  透魔さんの問いかけに、お父さんはしばらく黙考したのち、こう答えた。 「ーーいえ。最近は忙しくて、あまり悠真と一緒には過ごせいなくて……恥ずかしい話検討もつかないんです。成績も良くて、言うことも聞く素直な子で……。今まで問題を起こしたことなんてなかったのに、まさかこんなことをするなんて」
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