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お父さんと触れ合う機会がなくて、寂しさを紛らわすために猫又に通っていたと考えられる悠真くん。
しかし彼の落ち着いた様子から考えると、お父さんにその本音を一切言えてないだろう。忙しいお父さんを困らせたくないという思いがあったんじゃないかと思う。
そして、お父さんの様子から察すると、悠真くんが孤独に苦しんでいることなんて、知る由もないようだ。
ーーなんとなく、少し前の自分のことを思い出してしまった。
上司にいくら辛辣な事を言われても、営業先で罵声をあびせられて胃がキリキリと傷んでも。母にも友人にも言えなかった。
心配かけたくなかったし、意気揚々と上京したのにも関わらず、ハズレの会社にあたってしまい、惨めに思われてしまうような気もして。
目が覚めたら世界が壊れていてくれないかなとか、私の中に誰かが入って代わりに働いてれないかなとか、有り得ない願望すら抱くようになった。しかしもちろん、そんなことは起こるはずもなく。
誰かに、何かに助けを求めればよかったんだと思う。しかし声を上げることにだってパワーは必要なのだ。そんな力、私には既に欠片も残っていなかった。
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