ポン太

62/79
前へ
/236ページ
次へ
『よくわかんないだけどさあ。解決したの?』  のそのそと私の方を歩きながら、のんびりとした口調でポン太が言う。私は微笑んだ。 「いい結果に落ち着いたみたいよ」 『ふーん』 「猫又に戻るよ、ポン太」 『えー。久しぶりの外だし、散歩したかったのになあ』 「いいからっ。ほら、今戻ったらおやつもらえるよたぶん」 『まあ、それならいいけど』  渋々といった調子だが、私のお願いに了承してくれたポン太を、そっと抱っこする。ーーすると。 「いやー、見つかって良かったです」 「うわあ⁉」  いきなり背後から声がしたので、私は素っ頓狂な声を上げながら驚いてしまう。振り返ると、透魔さんが満面の笑みを浮かべて立っていた。 「透魔さん! いつの間に!?」 「えーと。雨宮さんが悠真くんに『お父さんのこと、関係ある?』って言っていた時くらいからです」 「…………」  それって、私が悠真くんを見つけてすぐじゃないか。事態のほぼ最初から、透魔さんはこの場にいたことになる。全然気づかなかったけれど。 「さ、ポン太を中に」
/236ページ

最初のコメントを投稿しよう!

736人が本棚に入れています
本棚に追加