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『よくわかんないだけどさあ。解決したの?』
のそのそと私の方を歩きながら、のんびりとした口調でポン太が言う。私は微笑んだ。
「いい結果に落ち着いたみたいよ」
『ふーん』
「猫又に戻るよ、ポン太」
『えー。久しぶりの外だし、散歩したかったのになあ』
「いいからっ。ほら、今戻ったらおやつもらえるよたぶん」
『まあ、それならいいけど』
渋々といった調子だが、私のお願いに了承してくれたポン太を、そっと抱っこする。ーーすると。
「いやー、見つかって良かったです」
「うわあ⁉」
いきなり背後から声がしたので、私は素っ頓狂な声を上げながら驚いてしまう。振り返ると、透魔さんが満面の笑みを浮かべて立っていた。
「透魔さん! いつの間に!?」
「えーと。雨宮さんが悠真くんに『お父さんのこと、関係ある?』って言っていた時くらいからです」
「…………」
それって、私が悠真くんを見つけてすぐじゃないか。事態のほぼ最初から、透魔さんはこの場にいたことになる。全然気づかなかったけれど。
「さ、ポン太を中に」
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