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お父さんがポン太を迎え入れてくれる上に、悠真くんと一緒に過ごす時間を増やしてくれるようで心からよかったと思う。
「それでは、ポン太のことをよろしくお願いします」
「はい! 悠真と一緒に可愛がります」
「俺、今日から一緒に寝る!」
そんな話をしながら、受付カウンター付近にいた悠真くんと彼のお父さんは、猫又の出入口の方へと向かう。私は少し離れた店内のテーブルにつき、その様子を眺めていた。ーーすると。
ーーん?
悠真くんが何かを思い出したかのように、店内に戻ってくると、なんと私の方へと駆け寄ってきた。
「 悠真くん?」
「えーっと……」
悠真くんは照れくさそうに何やら話そうとしている。
「ん?」
「あ、あの。うまくいえないんだけど……。ちゃんと、父さんと話せたの、お姉ちゃんのおかげっていうか。だから、その」
少し間を置いてから、私から目を逸らして、悠真くんはこう言った。
「ありがとうございました」
お礼を言われることを想像していなかった私は、一瞬虚を突かれる。だけど、悠真くんの照れたように赤く染まった横顔が見えて、微笑ましさを覚える。私は笑みを浮かべた。
「いえいえ、こちらこそ。ポン太の飼い主になってくれてありがとう」
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