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ポン太がここに保護されたことが嬉しくて、つい。私馬鹿じゃないか。
でもまさか、透魔さんのようないい大人が「こいつ猫と喋れるんだ」なんて考えるわけないと、どこかで思い込んで油断していたのだ。
しかし確実に彼にバレているようだ。正直に話そうか? いや、話したところで小馬鹿にされるかもしれない。うーん、でも透魔さんはそんな人じゃないとは思う。
「誤魔化さなくても良いぞ」
私が脳内でひたすら迷っていると、透き通った青年のような声で、そんな言葉が聞こえたきた。
私と透魔さん以外に、誰かいたっけ?と、私は声のした方を振り返る。
「初めてここに来た時に、私の「お前、猫の言葉がわかるのか」という問いかけに、お前は頷いただろう。あの時から透魔も知っていたのだよ」
「ーー!」
あの、美しく神秘的な銀色の猫が、人間語を話している。他の猫とは違い、口から直接発している。私は驚愕のあまり、一瞬絶句してしまった。
「じゃ、喋った……⁉ 猫がっ?」
「お前も似たようなものではないか」
私の掠れた声に、銀の猫は不満げに言う。まあ確かに、猫と会話できる人間と、人語が喋れる猫。不可思議さでは大差はなさそうだ。
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