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「おいあまり調子に乗るなよ透魔」
「あれ、師匠。すいません」
相変わらず偉そうに言う銀之助に、大して悪気なさそうに口だけの謝罪を吐く透魔さん。
「師匠とは……?」
「彼は僕の師匠なんですよ。いろいろ恩があるので、力を戻す手伝いをさせてもらってるんです」
「そういうことだ」
「ーーなるほど」
それで透魔さんはここの店主をやっているということか。
「それで、雨宮さん」
「はい?」
「実は、ポン太を引き取ったのは私達にある打算があったからなんですよ」
「打算……?」
少し真剣な面持ちになって透魔さんが話し出したので、私も身構えてしまう。
「雨宮さんが猫と話せるということを利用したかったんです、私達は」
「へっ?」
「ここでアルバイトしませんか? もちろん規定の時給で賃金はお支払いします。ーーいえ、猫と話せる手当てとして、多めにお支払いしてもいいですよ」
「え、なんだか。急な話ですね」
思ってもみない提案に困惑してしまう。しかもかなり高待遇のようではないか。
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