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「雨宮さんにとっても魅力的な話なんじゃないですか? そろそろ失業保険が切れるから就職先を探さなきゃいけないそうじゃないですか」
「う……!? なぜそこまで私の状況の詳細を」
仕事で体を壊して退職し、今はのんびりしていることはモモをはじめとしたいろいろな人に言っているから、透魔さんが知っていても不思議ではないけれど。
失業保険がもうすぐ切れるとか、そろそろ次の職場を探さなくてはならないとか、そんな切羽詰まった話まではしていなかったはず。
「常連さんがよく雨宮さんの話をしてるんですよ。心配よねー、大丈夫かしらねー、って。それで自然と知るところとなりました」
「……く、お母さんとケイちゃんめ」
お母さんが私のことを話の種にし、ケイちゃんが猫又でほかの友達にそのことを話題にしていたという寸法か。これだから田舎のおばちゃんネットワークは。
「まあ、その話は置いといてですね。見ての通り、師匠の尻尾は今は分かれてしまっています。昼間は普通の猫と同じ1本のしっぽなんですけど、夕方……だいたい5時くらいでしょうか。そうすると師匠の妖気が強くなるせいで、自然と分かれてしまうんですよ」
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