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どうやら、まんまとふたり(ひとりと1匹? いや2匹?)手の平の上に乗せられていたらしい。
だけど、悪い気はしなかった。実際に透魔さんはポン太の面倒を丁寧に見てくれたし、飼い主まで見つけてくれた、救世主なのだから。
それに、こんなにあっさりと勤労のリハビリ先が見つかるなんて願ってもないことだ。
長く働くかはもちろんまだ未定だけれど。それでも、大好きな猫に囲まれながらの仕事は心が癒されそうだし、妖怪という珍しい猫もいる中で働けるなんて、最高に面白そうだ。
「ええ、いいですよ。アルバイトさせてください」
「ありがたい。よろしくお願いします」
「ただ、ひとつ聞きたいんですが」
「なんでしょうか?」
「私はどうして猫の言葉がわかるんでしょうか? 物心着いた時からなんですけど。透魔さんや銀之助は、何か心当たりがありますか?」
昔から不思議だった。両親だってごく一般的な育ちだから、私だって言わゆる普通の人間なはず。そんな私が、どうして生まれつき猫との意思疎通が可能なのか。
「恐らく、あなたの祖先に猫と深い関わりを持つような人がいたのでしょうね」
「祖先?」
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