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「過去にも数人雨宮さんのような人と出会ったことがありますが、長い時を経た世代を超えた猫の恩返しが現れた場合が多かったです。曾祖父が猫好きでたくさんの猫の世話をしていた、祖母が猫神様に毎日お供えをしていた……なんて方達でしたよ。雨宮さんの先祖にも、猫を大切にしていた方がいたんじゃないでしょうか」
「私の先祖にそんな人いるのかなあ?」
思い浮かべてみるけれど、祖父母世代までしか自分の血筋の人物についてはわからない。
それに父方の祖父母にいたっては、ふたりとも幼少の時になくなってしまったから、顔を微かに覚えているくらいだし。猫が好きだったどうかさえも知らない。
「何世代も前だったらわかるはずもないでしょうね。猫からの友好の証だとでも、軽く考えておいてください」
「友好の証、ですか」
猫から授けられたらしい、特殊能力。
それを聞いて、私はますますここ保護猫茶房猫又で働く意欲が沸いた。
「では。これからよろしくお願いします」
私は深くお辞儀をして、ゆっくりと言った。
「ええ、こちらこそよろしくお願いします」
常に浮かべている温和な笑みを、やはり崩さずに透魔さんが私の言葉を受け入れる。
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