ポン太

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「さーて、雇用契約書はっと……」  横目で見えた透魔さんは、素知らぬ顔でカウンター横の戸棚をごそごそと漁っていた。さっきよりもちょっと笑みが深く、楽しそうに見える。 「撫でる度にもふもふいうー! やばい、癖になっるううう!」 「お、おい! や、やめろー! 離せ! 無礼者ー!」  夕刻の妖怪猫茶房に、尾の分かれた猫又の声がしばらくの間轟き渡る。  ーーかくして。  私はこの保護猫茶房猫又のアルバイトスタッフとして、働くことになったのだった。
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