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ネロ
猫の祖先は、乾燥地帯で生活していたリビアヤマネコと言われている、と子供のころ読んだ動物図鑑に書いてあった覚えがある。
そのためか、雨の日や湿度の高い日が苦手らしい。高温多湿な日本の夏場は、猫にとっては天敵なのである。
7月に入り、梅雨真っ只中。ベタつく髪と肌に不快感を覚える日々が続く。雨の中猫又に出勤した私は、店内に入った途端に、苦笑を浮かべる。
「みんな死体みたい……」
ほぼ全ての保護猫達が、床でだるんと横たわっていた。エアコンはドライモードに設定してあるはずだが、外から入ってくる湿気を解消するには事足りない。
雨の日の猫はとことんだるく、一日中眠いのだ。
『だって雨きらーい。ねむーい』
そう言いながら私の足元にやってきたのは、最近猫又に引き取られたばかりの白い子猫・大福。
若いためか、まだ動く元気があるらしい。それでもいつもの俊敏な動きは見られず、のそのそと重そうに歩いている。
『ほんと、ここ最近ずっと雨で嫌になるぜ』
座布団の上で伸びながら、目を開けずにイケメン猫のカイが言う。
シャムの血でも混じっているのか、細身でしなやかな体つきをしているのに、だらんとだらしなく横たわっているせいか、かっこよさは微塵もない。
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