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頭に響く声は止まってしまい 仕方なく 御影石 己龍 高い背を窮屈そうに屈めては 倒れた仲間たちをプレハブ内へと運び入れていると
部屋の奥から 「石くん これは何があったんじゃ?」と間宮教授と たまたま 今日 青森域での学会帰りに寄った 民俗学の 久城(くしろ)教授も頬の痩けた顔を出します 久城教授と間宮教授 同じ みちのく文化大学で教鞭をとると言うか 二人とも 浮世離れした変人同士 気が合うようで 大学内でも 顔を会わせては なにやら空想的な学論を語り合っているそうで。。。。。
その二人に「なんかよくわからんのですが 急に猛々しく野生化したみたいに 襲いかかって来たんですよ」
「そんな馬鹿な また 石くん 惚けたことやって 皆怒らせたんじゃろう」
「いやいや 間宮教授 これ見てくださいよ」と 手に持っていた 峰岸の頭に生えていた二本の角の折れたのを二人に見せるや
目を丸く驚いたのは 民俗学の久城教授 痩せた顔の大きな目をさらに大きくさせたので
一瞬 失礼だと思いつつ 「うわあ 久城教授 まるでグレイ(宇宙人目の大きなタイプ)じゃん」など吹き出しそうになるも
「それと なんつったかな? 峰岸さんが 私に。。。もぐもぐ。。。じゃない まぐう様に忠誠誓っていないのかぁ?とか。。。
」
それを聞いた二人 今度は 間宮教授まで目をグレイ(笑)にしては
「まさか 」「さっきまで話していた 摩吽烏の伝説と言うか 」
「いやいや しかし 実際に 牛頭 馬頭とか呼ばれた 摩吽烏の使役者たちも文献にあるしのぉ」と
いつものような トンデモ噺が始まってしまったが
二人の真剣な表情から
そして 先程の自身の頭に響いた声もまた「摩吽烏」と言っていたのを想いだし
「あの 摩吽烏ってなんなんです? それにこの角は?いったい。。。」と疑問を投げ掛けた時でした。
プレハブの外より
きゃーっ
絹を裂くような悲鳴が響き
三人 一斉に飛び出そうとするのを
何故か 御影石 二人の行方を遮って「お二方は 万が一 何かあったら困るので僕が見て来ます」と冷静に対処している自分を訝りながら
扉を 明けます
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