☆強運娘の不幸な話☆

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私、リリスは17歳になったばかりの薬師の娘だ。 元々はコロール国の隣、リズガルド国に住んでいた。 物心ついた時から父はなく、コロール国出身の母と2人暮らしだった。 なぜコロール出身の母がリズガルドに住み着いたのかはわからない。 一度聞いたことがあるが、曖昧に微笑まれそれ以降は聞くことをやめた。 母が体調を崩し3ヶ月前、天に召されるまでは…… 病状の床で今までになく、母娘で話し合った。 もしもの時のこと。 コロールに住んでいた時のこと。 そして……病弱だった父親のこと。 コロールからリズガルドへの旅の途中に亡くなったらしい。 父の葬儀の後に妊娠がわかったという…なんとなく巷で流行っている恋愛小説にありがちな事だった。 ベッドの上で聞く母や父が育った緑豊かな国・コロール。 話を聞けば聞くほど興味が尽きない。 母の弔いが済み、落ち着いた頃、コロールで母が懇意にしていた人・ムールカさんに連絡を取ると、トントン拍子にコロール行きが決まった。 薬師の母に幼い時から薬師としての心得を叩き込まれ、17という年齢で薬師で一番ランクの高い賢薬師の称号を持っていたことも幸いだった。 いつの時代も薬師という仕事は無くならない。 病気や怪我が無くならない限りはつねに人手不足と言ってもいいだろう。 ムールカさんの計らいで薬師としてお店を構えることになったのだ。 そして、昨日。ドキドキとワクワクの逸る気持ちを抑えながら、王城門横にある国民登録の用紙に記入したのだ。
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